2012年10月20、21日と南房総を走ってきました。今回は新たに開通した安房グリーンライン(以下「新道」とします)と、それ以前に利用されていた旧道及び林道を走り比べてみました。本稿では両者を写真で比較していきます。新道は三芳村の方から始まっていますが、本稿では新道と旧道及び林道との比較という意味で、林道小松線起点から白浜までの間に限定します。
安房グリーンラインと林道小松線の分岐。左の広い方が新道で、右の細い方が林道小松線です。
林道小松線起点。林道ですので1車線しかありません。
一方新道は対向二車線で路肩も十分あり、車道幅員9メートルと広々しています。森林が切り開かれているので開放感があります。夏場は自転車には灼熱地獄でしょうけどね。
最高標高地点からは館山市街や三浦半島も見えます。
一方、林道は狭く…
そして暗いです。夏場は涼しいので自転車には有利でしょう。
林道小松線は小松隧道を抜けると終点です。新道ではなく旧道に合流します。
旧道ですので、小型車一台が通るのがやっという素堀りの隧道があります。
隧道を抜け100メートル強進むと新道に合流します。旧道は左手。
ここから先は新道が旧道を上書きしてしまった様です。
林道山倉線の分岐を過ぎると、旧道と新道は再び分岐します。
川沿いの旧道は直線で進みますが、新道は川を避けたらしく大きなカーブで進みます。旧道が幹線道路であったのは電信柱と電線が証拠ですね。
直線の旧道を約300メートル進むと再び両者は合流。
両者が合流したので旧道は新道に上書きされたかと思ったのですが、電線が右側に移っていました。
そう、旧道は新道の脇に残っていました。新道に付随する歩道の様な感じで。もちろん歩行者が歩くことはなく、旧道は誰にも利用されず朽ちていくのみです。
右側を走る旧道が左側に移りました。つまり新道が旧道を分断したわけです。
しかし左側にある旧道も100メートル程で新道に合流しました。微妙な曲線を描いていた旧道を新道が直線化したとも言えます。
合流地点から50メートルも進まない場所に農産物販売所があり、そこから旧道が左手に大きく逸れて行きます。
旧道は神社やお寺や集会所がある集落の中心地を通っていますので、現役で使われて綺麗です。狭いですけどね。
再び旧道と新道は合流します。旧道は左から右に向かって進みます。
新道を真っすぐ進むとこんな感じで、非常に快適です。豪雨が降っても問題なく走れる道です。
一方旧道を進んで長尾川を渡ると…
林道畑3号線に入ります。
新道のお陰でこちらは通る車もなく、路面は汚れています。民家もありませんので、物好きが通るくらいですからね(笑)。川沿いなので豪雨が降ったら危険な道です。
一方、新道は川の上を高架で一跨ぎ。こんな綺麗な道路があるのですから、わざわざ林道を走る意味はないです。
その高架橋から見下ろすと、林道畑3号線が見えます。
一方、林道畑3号線から新道の高架を見るとこんな感じ。厳密には位置が反対ですが。
林道畑3号線は新道に合流して終わります。
ここから旧道が上書きされるかと思いきや、50メートル程先で…
林道畑2号線が始まります。どうやら50メートル程、新道が林道を上書きした様です。
20、21日の走行レポートでも書きましたが、どうやら旧林道畑2号線は新道によってここで分断されることで、2号線と3号線に名称を分けた様です。
新道はずっと同じ様な対向2車線のまま安房白浜トンネルに入って行きます。安房白浜トンネルは全長1138メートル、車道幅員6メートルです。自転車は車道を走ることになりますが、交通量が少ないので危険はないです。気をつけねばならないのは、ここは標高65メートル程度で、反対の出口は標高が20メートル程度と、トンネル内に4%強の勾配があることです。
一方林道畑2号線は落石注意な山の中を高度を上げつつ走ります。最高で標高110か120メートル程の様です。
観光的にはこういう素晴らしい隧道を楽しむこともできます。しかし路面は良くないですし、擦れ違うのが難しいので自動車も走りにくいです。
隧道を過ぎて暗い山の中を下って行くと、いきなり安房白浜が見えて感動します。ここで標高50メートル強。ここから林道畑2号線は山を急降下します。
新道のトンネル出口はこんな感じ。落石の恐れはありませんし、快適そのもの。
トンネル出口から安房白浜海岸がかすかに見えますが、標高が低い為本当に僅かにです。新道はトンネル出口から500メートル程進み、房総フラワーラインに突き当たって終点です。
一方林道畑2号線はトンネルの真上を横切って急降下して平地へ。左端にトンネル出口が見えます。
上の写真から10メートルの場所で林道畑2号線は終点です。細い道路を走れば、新道の終点まで500メートルもありません。
以上の比較でわかると思いますが、旧道及び林道と新道の作りは違いすぎます。旧道及び林道は川沿い等の通しやすい場所に設置され、ちょっとした高低差を避ける為の迂回や隧道が多数あります。一方新道は山を切り開き高架を使い直線が多く、トンネルも一本。
以前、私は新道に関して疑問を呈していました。南房総を南北に走る幹線道路は内房沿いと外房沿いにそれぞれ一本、内陸部に二本ある為、内陸部にわざわざ三本目を通す必要性がわからなかったからです。まして山を崩して大型道路を建設すれば豊かな自然をなくし、それは観光資源をわざわざ捨てる様なものであると。この点に関しては賛否両論あると思いますし、私も依然としてやや反対です。しかし畑という集落が秘境と呼ばれるのはまさに幹線道路がなかったからで、今回旧道及び林道を新道と比較することで、畑の特異性を知りました。実走した旧道及び林道は大雨が降ればたちまち通行止めです。落石や崩落の危険性を常に抱えています。そんな時に急病人が出たら… この集落に子供がいるかわかりませんが、いるとすれば学校は白浜に通うのでしょうから、不安定な林道では通学もままならないでしょう。新道によって農産物の運搬もスムースになるでしょう。そういう意味ではこの新道の意味は大きいですね。「なんでもかんでも公共工事は悪い」という風潮に流されてはいけないのかもしれません。とはいえ、せっかくの豊かな自然なのですから、この自然を活かす様に新道を使って行って欲しいものです。
また、できれば旧道と林道も新道のバックアップとして、最低限の維持をお願いしたいです。速度よりも自然の中を走りたい自転車乗りとしては、隧道も含めて素晴らしい林道をいつまでも走りたいのです(^^;。
2012/10/20 南房総レポート
2012/10/21 南房総レポート
Wikipedia 安房地域広域農道
0 件のコメント:
コメントを投稿