2010年4月25日日曜日

2010/04/25 綾瀬川遡行

走行距離 96.5km
使用車種 KHS F20-R
データリセットのため詳細データ不明



 日本で汚れの一、二を争う川、綾瀬川。自宅からは直線距離で3km程度にある川ですが、都心方向と反対側ということもあり、私はあまり行きません。せいぜい綾瀬駅に行く際に頭上に首都高速が走る綾瀬川沿いを通るくらい。地元の綾瀬川ってほとんど知らないんですよ。秩父に詳しくて地元を知らないのは、日本の歴史を知らずにアメリカにかぶれる様なものです(笑)。荒川源流サイクリングをしたことで川自体に興味を持ちましたので、身近な綾瀬川を辿ってみたい気持ちになっていました。そこへ甥っ子が入学した高校が綾瀬川起点の近くと知り、自転車通学を勧める意味も含めて急に実行することにしました。

 自宅出発は08:40。まずは綾瀬川を一旦下り、河口を目指します。09:20、河口に到着。



 立っている場所は荒川サイクリングロード左岸で、上流方面を眺めています。左から、荒川、綾瀬川、中川です。ここで綾瀬川は中川に合流し、中川は更に7km下流で荒川に合流します。首都高速が綾瀬川の上を走り、サイクリングロードに影を落としています。そしてこの湾曲が特徴的な箇所はかつしかハープ橋の真下でもあります。



 綾瀬川河口から東京スカイツリーを望む。手前に見えているのは荒川です。ホームレスの家と対比になってしまいました。



 綾瀬川河口から少し遡った場所から振り返ると、先程の場所にかつしかハープ橋がかかっているのがわかります。Wikipediaによると、世界初の曲線斜張橋だそうです。



 09:55。JRの奥に東京拘置所が見えます。ヘリポートを備えた高級マンションに見えなくもないです(笑)。



 10:15。花畑運河への水門が見えます。ゴミが浮いていて、水の色も綺麗とは言えないですね。



 もう一枚、ほぼ同じ場所から。影がやたら綺麗に映っているのは水に透明度がないからでしょうか(^^;。川の流れ自体もゆっくりしています。間違っても「逆さ水門だ〜」とは喜べない風景(笑)。ちなみに、この水門は平日の午前にしか開門されないそうです。綾瀬川の水質が悪いので、潮流の関係で花畑運河と中川に逆流しない時だけ開けていると。逆流しない時は比較的綺麗な運河の水が綾瀬川に流れ込み、綾瀬川の浄化に役立てているそうです。まぁ希釈しているだけで根本的解決とは言えないですけど。



 桑袋大橋から綾瀬川上流方面。自動車のタイヤが流れていますorz 水は変な色で透明度がないです。でも首都高速がなくなり、河岸に草木があるのでドブ川という感じではないです。



 綾瀬川岸にある札場河岸(ふだばかし)公園。札場という屋号の店の私河岸だったそうです。



 札場河岸公園の中に煉瓦造りの甚左衛門堰というものがありました。明治27年から昭和58年まで約90年間使われた水門で、埼玉県指定文化財だそうです。アーチが美しいです。



 谷古宇橋から綾瀬川上流方面。この辺りから日光街道と綾瀬川は並走しています。フリーマーケットが開催されていて、周囲は大混雑でした。



 11:03。綾瀬橋から綾瀬川上流方面。堤防の油だか錆が… まだドブ川の印象に戻っちゃいました。ここから綾瀬川は日光街道から離れます。日光街道から離れた綾瀬川の右岸にはヘルシーロードという遊歩道が設置されています。



 最初はコンクリートの堤防だったヘルシーロードもすぐに土と草の健康的な遊歩道になります。最近ありがちですが、遊歩道には桜と菜の花が植えられています。この辺の川の水はそんなに綺麗じゃないのでしょうが、コンクリートの堤防でないのでなんとなく綺麗に見えてしまいます(笑)。



 綾瀬川の佐藤橋付近。だいぶのどかになってきました。



 12:35。下沼橋から綾瀬川上流方面。田んぼの中にある下沼橋はドアミラーが引っかかりそうなくらいの、自動車一台が漸く通れる狭い橋。それなのにたまに自動車がやってきて通りました。



 下沼橋の土手を上流方面に少し進んでみました。ほとんど人が通らないらしく、わずか30メートルも進むと菜の花で地面が見えません(笑)。どう見ても引き返すことになりそうなので前進は諦めました。



 卸売団地付近の綾瀬川。この辺では数人の釣り人が見られる様になりました。清流とはほど遠いですが、さすがにドブ川の印象はないです。



 13:30。小厩橋から綾瀬川上流方面。写真では右側の綾瀬川左岸は綾瀬という地名です。



 同じく小厩橋から、今度は綾瀬川下流方面。



 県道3号線(さいたま栗橋線)の別所橋より北に100メートルの小さな橋から上流方面。鴨?が泳いでいました。



 アップで。



 13:45。伊奈ジョギングロード起点に到着。ここから約6キロメートル、綾瀬川の土手が幅1メートルくらい舗装されています。



 同じく起点。ここから先、綾瀬川の両側はほぼ田んぼになります。ジョギングにもサイクリングにも徒歩にも良い舗装路ですが、真夏の昼間は日陰がないのできつそうです。



 同じく伊奈ジョギングロード。田んぼの排水が流れ込んでいます。綾瀬川は山からの湧水ではないので、ここまで来ても水は濁っています。しかし!!HOMER'S玉手箱より伊奈ジョギングロードの記載に依ると、ここには蛍がいるそうです。残留農薬はほとんどないんですかね。



 14:10。伊奈ジョギングロード終点。



 境橋から綾瀬川下流方面。水深10センチくらいでしょうか(笑)。ここは浅いせいか、川底が見える程度の透明度があります。



 境橋から綾瀬川上流方面。水はあまりなく、川底はズブズブみたいですね。

 14:15。元荒川水循環センターで道路は左折、綾瀬川はそのまま直進します。綾瀬川に沿ってわずかに人が通行できる道がありましたので、一旦自転車を置いて徒歩で探検。そのまま大きな通りに抜けられることがわかり、自転車に戻って自転車担ぎモードに。道は湿っていて転がす気にもなれないのです。



 これがその通路。土管から畑だか田んぼからの排水が流れ出しています。そう、これが綾瀬川の水源のひとつなのです。



 川底が泥なので水が濁っていますが、よく見ると体長30センチくらいの鯉?が結構います。こちらの足音に反応して過敏に動き回り、結果として川は濁りまくり。結局綾瀬川はどこまで行っても透明な水というのはないのですね。



 元荒川水循環センター前の道路に出て来れました。左が綾瀬川ですが、水は見えません。

 なお、元荒川水循環センターは埼玉県北部の5市(熊谷市・行田市・鴻巣市・北本市・桶川市)の汚れた水を集めてきれいにし、元荒川に放流しているそうです。そんな場所に起点のある綾瀬川が汚染度ワースト上位というのは皮肉な話です。



 元荒川水循環センターを囲む様に綾瀬川も左折。水流は菜の花で全く見えず。



 左折して100メートルも進むと道路脇に綾瀬川起点石碑がありました。



 起点を振り返って。奥の方からやってきました。



 石碑の裏に下りてみると、とても川とは言えない単なるズブズブの土でした。そしてここにも元荒川水循環センターからの?排水が流れ込んでいました。起点から先には道路の下に土管が設置されているのですが、それは赤堀川に流れ込む様に繋がっているのかもしれません。

 というわけで、綾瀬川源流まで辿り着きました。Wikipediaによると綾瀬川は利根川と荒川の本流だったそうで、戦国時代の水路開削により本流が東に流れ、現在の綾瀬川が分離されたとのこと。元がそんな大河であることから綾瀬川中下流域は低湿地帯で、綾瀬川は川筋が一定せず「あやし川」と呼ばれていたとのこと。なるほど地図をよく見ると、現在でも沼や遊水池が結構見られます。そしてこの低湿地帯ということが、綾瀬川起点に関係しています。

 地図を見ると、綾瀬川起点の道路の反対側は赤堀川が流れています。しかも不自然なことに、東に進んでいた川が突然90度方向を変え、北に進んで元荒川に合流しているのです。グズグズな地盤の低湿地帯にしてはあまりに不自然な流路変更。その原因は備前堤です。石碑のある道路を更に200メートル程進むと、備前堤を史跡として解説するボードがありました。





 江戸時代、関東郡代伊奈備前守忠次が赤堀川を長さ600メートルの堤を築き、その流れを元荒川に直角に落とした。これにより、堤より下流域の村は赤堀川による洪水の害を免れる様になったと。つまり綾瀬川起点のある道路は両側より盛り上がっているわけですが、これが備前堤の名残なのでしょうね。と同時に、綾瀬川に流入する水は農業排水や生活排水に限られることになり、現在の綾瀬川が形成されたわけですね。

 ちなみに堤の高さを決めた御定杭も探したのですが、急遽ポタリングが決定した事もあり、下調べが不十分でわかりませんでした。グルグル走って探してみたんですけど。

 14:50、以上で綾瀬川調査終了。この後は久喜市の甥っ子の家に、某高校からどれくらいかかるか走ってみました。距離は17キロメートル、普通に走って50分。夜は真っ暗になる道は危険なので走れないですし、大通りは大型車が走っていて危険なので歩道走行ですね。それでも高校生ならこれくらい普通自転車通学でしょうという距離が証明されました(笑)。

 甥っ子の家からは江戸川サイクリングロードで帰宅するつもりでしたが、アイスクリームを食べたせいか腹が緩くなり(^^;、危険なので南栗橋から竹ノ塚まで輪行にしました。実際危なかったです(^^;;;;;;

 このレポートを書くにあたりいろいろ調べましたが、綾瀬川に限らず河川の歴史は興味深いです。川の汚染は都市化に伴う生活排水や工業排水が原因であり、下水道の完備に従ってゆっくりと改善されて行くのでしょう。でもあちこちで見られたのですが、タイヤとか自転車を投げ込んでいるうちはダメですね。人間の心も綺麗にならないと。

 ドブ川と蔑まされている綾瀬川ですが、ドブ川にしたのは人間です。今回起点まで遡ってみましたが、下流域との様相の違いにショックを受けました。山からの清流と違い水に透明度こそありませんが、上流は明らかに生物の宝庫でしたから。綾瀬川下流域の方は是非起点を訪ねてみて下さい。


所要経費
 東武伊勢崎線 南栗橋駅→竹ノ塚駅 500円

関連リンク
 荒川左岸北部支社(元荒川水循環センター)

1 件のコメント:

うらしま さんのコメント...

はじめまして うらしまと申します

ちょっとした誤解のために 綾瀬川探検を始めてしまいました

いきなり路上で決意してしまったので、起点探しに苦労しましたが

(まさか、源流のない川があるとは思ってもみませんでした)

おかげさまで、なんとか発見できました

本当にありがとうございました

当ブログは、季節ごとに一回くらいの更新になりますが、良ければ覗いてみてください。