2011年5月6日金曜日

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール@BLUE NOTE TOKYO 2011/05/06

[日時]2011/05/06(金) 19:00開演
[会場]BLUE NOTE TOKYO
[料金]¥6,300
[時間]1時間33分
[出演者]
 菊地成孔 (sax, vo, conduct)
 大儀見元 (perc)
 田中倫明 (perc)
 堀米綾 (harp)
 早川純 (bandneon)
 林正樹 (p)
 鳥越啓介 (b)
 吉田翔平 (vln 1)
 楢村海香 (vln 2)
 菊地幹代 (vla)
 徳澤青弦 (vlc)
 林正子 (sop vo)
 カヒミ・カリィ (vo)

[曲目]
 01.YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS (vo.菊地成孔)
 02.京マチ子の夜
 03.即興〜はなればなれに〜映画「アルファビル」〜悲しきワルツ
 04.THE LOOK OF LOVE (vo.カヒミ・カリィ・菊地成孔)
 05.パリのエリザベステイラー
 06.アリア 私が土の上に横たわる時 (vo.林正子)
 07.行列 (vo.林正子)
 08.キリング・タイム
 09.バンドネオン ソロ〜ルペベレスの葬儀
 10.IMPROVISATION〜CRAZY HE CALLS ME (vo.カヒミ・カリィ・菊地成孔)
 MC
 11.時さえ忘れて (vo.菊地成孔)

 01パーカッションに乗せて菊地のボーカル。パーカッションのリズムが心地よい。ボーカルが終わるとピアノ等が参加、菊地もサックスへ。
 02間を置かずに「京マチ子の夜」へ。下世話とも言える甘い主旋律も好きなのですが、出だしのバンドネオン、ベース、サックスのアンサンブルにゾクゾクします。
 04はカヒミ・カリィの囁く様なボーカルに背中をやられました(笑)。ピアノもバンドネオンも美しいです。菊地成孔のボーカルもCDよりはマシかなぁ。CDだと英語発音の酷さがダイレクトに耳に入って来ちゃって恥ずかしいったらないのです。
 05はCDJと管弦楽の融合。特に新しさはないかな。
 06は林正子の神々しいボーカルを堪能。
 07は不安を煽るリズムと旋律。緊張感ある演奏へ林正子のソプラノが被さります。
 08は大好きな曲。パーカッションとドラムが複雑なリズムを刻み、その上を緊張感ある弦楽器が走ります。第一バイオリンが大迫力のソロ。それらを従え、サックスが自由奔放にソロを展開。なんとなく坂田明を思わせると書いたら、菊地成孔に怒られますかね(^^; ハープの音も綺麗。
 09では最近気になるバンドネオンの音色をたっぷり堪能。そしてそのまま「ルペペレスの葬儀」へ。これがまた格好良い。主旋律をサックスとベースがユニゾンし続けるのが痺れまくります。その後のベースソロもイカしますね。ベースソロは単調でつまらないものになりがちですが、美しい旋律に乗せたベースソロは全く飽きない。ハープ演奏も効果的且つ華麗。菊地成孔のゴツゴツした演奏も素晴らしいです。
 10はデュエット。どちらも囁く様な歌唱。
 11はMC後のアンコール。弦楽セクションは哀愁、バンドネオンは哀愁と共に爽やかさも、ハープは華麗、リズムセクションは堅実で素晴らしいです。編曲のうまさもありますね。ただ菊地成孔の歌だけはちょっといただけないかなぁ… ジャズ界にはルイ・アームストロングのダミ声、チェット・ベイカーの細く妖しい歌唱と、幅広い歌が認められているんですけど、この拙い日本語発音英語で歌われると興醒めするのは私だけなんでしょうかねぇ。

 ブルーノート東京 ライブ該当ページ
 ブルーノート東京 公演の模様

 菊地成孔を知ったのはフジテレビNEXTの「菊地成孔と大谷能生の憂鬱と官能を教えた学校」でした。2011年4月頃のことです。自分はジャズファンなので、ジャズの理論面の解説番組には興味がありました。見てみると、菊地成孔はやけに口が回る人だなという印象。友人はこの番組を知らないのですが、別の何かで見た時「こいつはクスリをやっている」と思ったそうです(笑)。話はあっちこっち飛ぶし、妙にテンション高くペラペラ喋りまくるし、私も同意です。番組自体は面白くなくなった芸人と同じで、自分で自分の言葉に笑ってしまう菊地成孔にガッカリ。芸人は客を笑わせるべきもので自分が笑ってはダメですし、教師は生徒の興味を魅く為に笑いを取るべきで、生徒の笑いを取るために自分が笑ってはダメです。というわけでこの番組には失望しました。しかし同じ4月に同じくフジテレビNEXTで、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール結成5周年ツアー(恵比寿LIQUIDROOM 2010年6月9日)の模様が2時間放送されました。これに衝撃を受けました。ラテンとジャズとクラシックの融合したクラブミュージック? 耽美で荘厳で妖艶でロマンティック。上品で下品、ツンと澄ました芸術と下世話な程の甘さ。さすがにこんな音楽は聴いたことがありません。参りました。そんな折に私がよく行くブルーノート東京でライブをやるというのですから、これは行かない訳がないです。折しも東日本大震災のせいで外タレが軒並み来日をキャンセル。ブルーノートは日本人アーティストばかり出演させる異常事態の頃でした。

 ブルーノートに行ってみると、とにかく女性客が多いことに驚きました。自由席の入場は来場順なので熱狂的ファンが早い番号を取るのですが、今回は10番目だか11番目までが女性。どれだけ女性に熱烈ファンが多いかわかります。最終的に観客の半分近くは女性だったかも。着物で来場の女性を筆頭に、着飾っている女性も多いです。今までブルーノート東京には何度も行ってますが、初めて見るとても不思議な客層でした。

 内容自体は先程まとめた様に、テレビ放映で見た以上の素晴らしいもの。CDではダメですね。ライブでないと。唯一気になったのは菊地成孔の歌ですが、曲自体はアレンジの勝利で素晴らしいものでした。まぁ歌の善し悪しも含めて個人の好みの問題だとは思いますけど。これは誰にでも勧められる音楽ではないです。「京マチ子の夜」等キャッチーなメロディと演奏で誰でも入れる部分はあるのですが、それでも聴く人を選びます。でもこの独特の世界観にハマれば幸せになることは間違いないです。私はすっかり酔わされてしまいました(笑)。

 ライブ音源が欲しい方はこちら。サンプルも聴けます。

 菊地成孔とペぺ・トルメント・アスカラール LIVE at Blue Note Tokyo 2011 (DSD+mp3 ver.)

0 件のコメント: