2012年9月29日土曜日

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール@すみだトリフォニーホール 2012/09/29

[日時]2012/09/29(土) 18:00開演
[会場]すみだトリフォニーホール
[料金]¥5,605
[時間]2時間6分
[出演者]
 菊地成孔 (sax, CDJ, vo)
 大儀見元 (perc)
 田中倫明 (perc)
 堀米綾 (harp)
 早川純 (bandneon)
 林正樹 (p)
 鳥越啓介 (b)
 梶谷裕子 (vln 1)
 楢村海香 (vln 2)
 菊地幹代 (vla)
 徳澤青弦 (vlc)
 林正子 (sop vo)
 OMSBeat (rap)

[曲目]
 01.微音による即興 〜 はなればなれに
 02.微音による即興 〜 映画「アルファビル」〜悲しきワルツ
 03.映画「バターフィールド8」〜バターフィールド8のテーマ
 04.即興 〜 京マチ子の夜
 05.パリのエリザベス・テイラー(存在しない)
 06.アリア 私が土の下に横たわる時〜オペラ「ディドとエネアス」より
 07.行列
 〜MC〜
 08.カラヴァッジオ 〜 南米のエリザベス・テイラー
 09.嵐が丘
 10.キリング・タイム
 11.儀式〜組曲「キャバレー・タンガフリーク」より
 12.バンドネオンソロ 〜 ルペ・ペレスの葬儀
 13.映画「8 1/2」〜それから…(ワルツ)
 14.Crazy he calls me


 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールの公演は2011年5月6日以来。見たいと思っても時期が過ぎていて座席の位置が悪過ぎで敬遠等、チャンスがありませんでした。今回は発売日に合わせてチケットを手配。16列目ですが、ほぼ中央という好位置。例によって観客にはオシャレな女性が多いです。でもラジオの影響なのか、意外に若い男性や逆に老齢の男性もいました。



 すみだトリフォニーホールはクラシックがメインの会場で、音響が素晴らしいです。座席も見やすい配置で、良いコンサートホールですね。中央のパイプオルガンが目を引きます。写真は終演後撮影。

 すみだトリフォニーホール



 入場時に配られたセットリスト。事後だって珍しいですが、開演前に配るのはかなり特異なのでは。ネタバレを気にする方もいると思いますが、それなら見なければ良いだけ。食事のメニューと同じで、「今日はこんな感じでお楽しみいただきます」という気配りだと思いました。演奏中に気に入った曲のタイトルもわかりますし、これは良いやり方です。ちょっとメニューっぽい体裁もシャレています。

 では、演奏の感想。

 3「映画「バターフィールド8」〜バターフィールド8のテーマ」では甘くゆっくりしたテンポのワルツから、一転ピアノソロの疾走感が素晴らしい。
 4「即興 〜 京マチ子の夜」は不協和音の様な合奏と不思議なパーカッションのリズムが何故か心地よい。でもこれ「即興」なの? そのまま「京マチ子の夜」へ突入。退廃的でいてロマンティックな演奏へ。ソロは皆秀逸。
 6「アリア 私が土の下に横たわる時〜オペラ「ディドとエネアス」より」は林正子様のソプラノを堪能。全編オペラだと私には辛いのですが、ストレンジオーケストラのアクセントとして演奏されるのは好き。
 8「カラヴァッジオ」は正直理解不能。楽曲は面白いのですが、なんで菊地が下手な外国語を歌い、外国人が日本語ラップなの?(笑)
 9「嵐が丘」は菊地のスキャットが邪魔。演奏が変幻自在で素晴らしいのに、変なスキャットを乗せないで欲しい。
 10「キリング・タイム」はMassacreのオリジナルも聴きましたが、時代背景の違いもあってペペの演奏の方が緊張感があって断然良いです(もちろんオリジナルなくしてカバーがあるわけがなく、オリジナルの価値は絶大)。ドラムとパーカッションの複雑なリズムの上に、弦楽器は滑らかに、サックスやバンドネオンはごつごつした抽象的なソロを繰り出します。キリキリする緊張感と、体を動かしたくなるリズムのせめぎ合い。
 12「バンドネオンソロ 〜 ルペ・ペレスの葬儀」。バンドネオンソロの甘い演奏から、力強いサックスをメインにしたドラマティックな演奏。サックスに寄り添うベースが心地よいです。バックで繰り返されるハープも病み付き。
 13「映画「8 1/2」〜それから…(ワルツ)」は甘いワルツ。弦楽器の優しい旋律の上に奏でられる、菊地の甘くメロディアスなサックスが多くの女心を掴むのでしょうなぁ(笑)。

 不協和音のおどろおどろしさと、バッチリ重なった合奏。フリージャズの様な無調と甘美なメロディを備えた楽曲の対比。この辺を狙っているのでしょうね。ゾクゾクする緊張感と下世話な程の甘さの混合具合は素晴らしいです。ただやっぱり菊地成孔の歌はいまいちです。これが残念。あとMCが長過ぎです。ラジオのノリなのかもしれませんが、アンコール前は15分くらい喋りっぱなし。第一バイオリンの吉田修平が欠席で代わりが梶谷裕子なんですが、吉田修平が性転換したとかくだらない話をだらだらと。他に一曲演奏した方が実りがありますよ。

 今回の公演でショックだったのはハープの堀米綾様の結婚報告orz ブログでも全然触れてないんですよねぇ。いずれにせよ、菊地成孔同様私も凹みました(笑)。



 ホールが錦糸町でしたので、帰りに東京スカイツリーを撮影してきました。良い音楽と美しい景色に満腹です。

 参考音源
 Killing Timeオリジナル(Amazon MP3ダウンロード)
 菊地成孔とペぺ・トルメント・アスカラール at Blue Note Tokyo 2011(OTOTOY)

 別公演レポート
 菊地成孔とペぺ・トルメント・アスカラール at Blue Note Tokyo 2011

2012年9月1日土曜日

2012/09/01 山下達郎シアター・ライヴ

 9/1に山下達郎のシアター・ライヴに行ってきました。1984年から2012年にかけてのライブ映像をシネコンで公開しようというもの。山下達郎はテレビに出演しませんし、ライブ映像も販売しません。ですから彼の演奏姿を見るのはライブ会場に足を運んだ人のみということです。そんな彼のライブが映像とはいえ見られる機会なわけで、これは見逃せません。

 演奏内容の前に、まず画質について。1980年代の映像は当然SD画質(480i)で、スクリーンに映すとギザギザが目立ちます。2010年の映像でも720Pなのか、引いた映像はわずかに解像度不足。2012年になるとフルハイビジョンで、スクリーンでも全く問題なく映っていました。

 音質は山下達郎自身が"最高の音質"と推すだけにSDの映像でも問題なし。さすがに新しい映像の方が臨場感のある音になっていましたが。

 演奏曲は以下の通り。オリジナルはスペシャルサイトにあります。スペシャルサイトが消滅しても記録が残る様に転載しておきます。

01)SPARKLE
 1986.7.31@中野サンプラザホール(PERFORMANCE '86)
02)LOVELAND, ISLAND
 1986.10.9@郡山市民文化センター(PERFORMANCE '86)
03)メリー・ゴー・ラウンド
 1985.2.24@神奈川県民ホール(PERFORMANCE '84-'85)
04)SO MUCH IN LOVE
 1986.10.9@郡山市民文化センター(PERFORMANCE '86)
05)プラスティック・ラブ
 1986.7.31@中野サンプラザホール(PERFORMANCE '86)
06)こぬか雨
 1994.5.2@中野サンプラザホール(Sings SUGAR BABE)
07)煙が目にしみる(SMOKE GETS IN YOUR EYES)
 1999.2.4@東京・NHKホール(PERFORMANCE '98-'99)
08)ずっと一緒さ
 2008.12.28@大阪フェスティバルホール(PERFORMANCE 2008-2009)
09)DOWN TOWN
 2008.12.28@大阪フェスティバルホール(PERFORMANCE 2008-2009)
10)希望という名の光
 2012.4.1@神奈川県民ホール(PERFORMANCE 2011-2012)
11)今日はなんだか
 2010.10.27@神奈川県民ホール(PERFORMANCE 2010)
12)アトムの子
 2012.4.30@大宮ソニックシティ(PERFORMANCE 2011-2012)
13)RIDE ON TIME
 2012.4.30@大宮ソニックシティ(PERFORMANCE 2011-2012)
14)恋のブギ・ウギ・トレイン
 2012.4.30@大宮ソニックシティ(PERFORMANCE 2011-2012)
15)さよなら夏の日
 2010.8.14@石狩湾新港樽川埠頭横 野外特設ステージ(RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO)
 【上映時間/約92分】

 夏の公開らしく「SPARKLE」で開演。冒頭の印象的なカッティングギターでいきなり引き込まれます。そして容姿が…若い(笑)。26年前ですからねぇ… バブル前夜、日本が元気で音楽が元気で、誰もがエネルギッシュだった時代。うーん、音楽は良くてもつい懐古調になっちゃいます。山下達郎の服装は時代を問わず開襟シャツとジーンズで通していました。例外は二曲。「煙が目にしみる」はスーツ姿。どの曲だか忘れましたが、前半の一曲で当時隆盛を極めていたDCブランドのひとつ、GRASS MEN'Sを思わせる様な水色のスーツ姿。これは若気の至り?(笑) 時代の下る後半も開襟シャツとジーンズでしたが、頭にニット帽を被るのが変化ですね。まぁ頭髪は時代とともに…(笑) 他人事じゃないです。あと山下達郎自身の服装はほとんど変わらないのですが、バックボーカルの女性の服装や髪型が時代を感じさせて笑っちゃいました。

 演奏はいつの時代も充実していました。ハンドスピーカーを使ったり、全くの肉声だけの煽りとか、ライブが盛り上がっていました。「アトムの子」の盛り上がりぶりは凄いです。前半の若々しい演奏も良いですが、ボーカリストとしての力を感じさせる「煙が目にしみる」が圧巻。「RIDE ON TIME」は本当に子供の頃に聴いて好きだったので、涙が出そうでした(笑)。

 最近は山下達郎の曲を追っていないので勘違いかもしれませんが、新曲がしんみりしすぎの様な。年齢による熟成とも言えますが、元気な曲も欲しいと思っていましたので、ライブでの弾けた演奏と歌に痺れました。

 夏の公開故か、超有名な「クリスマスイブ」は演奏しませんでした。個人的には「サーカス・タウン」が欲しかったです。坂本龍一のキーボードだったら凄いんですが、さすがにそんな映像はないでしょうね(笑)。ライブCDで聴けますが、若さ溢れるキラキラしたキーボードが素晴らしいんです。

 鑑賞料が2500円とちょっと高いですが、たっぷり楽しめました。ただ音楽を聴くと体を動かしたくなるんですよ。映画館だと迷惑だと思ってじっとしていましたが、やっぱりライブに比べると窮屈かなぁ。

 山下達郎スペシャルサイト シアター・ライヴ

 まだ公開している映画館があります。興味のある方は是非。私もできればもう一度見たいと思っています。